JOURNAL | LIFEの日々と服

触れて感じる秋の素材

神田です。

ここ最近、肌寒さを感じる日も増え、少しずつ“秋”らしさを肌で感じるようになってきましたね。

季節が移ると、洋服の「素材」が気になってくる。

コットンの乾いた表情にウールのふくらみ。

コーデュロイの畝や、起毛した生地の柔らかな表情。

夏はどうしても涼しさが優先されますが、秋は触れたときの感覚や、着たときに生まれる表情まで考えながら服を選ぶのが楽しい季節ですね。

さて、今回ご紹介するのは、そんな秋にぴったりのmanual alphabetのウールシャツ。

使われているのは、世界三大産地のひとつである、愛知県一宮市を中心に岐阜県側まで広がる、日本有数の毛織物産地「尾州」のウール。

尾州は、古くから毛織物の産地として発展してきた場所。

その大きな特徴のひとつが、紡績、染色、撚糸、製織、縮絨、起毛など、それぞれの工程を専門とする企業が産地に集まっていること。

一社ですべてを完結させるのではなく、それぞれの専門家が技術を持ち寄り、一枚の生地を仕上げていく。

言ってみれば、産地全体がひとつの大きな生地工場のように機能している。

ここが尾州の面白いところのひとつ。

そして、毛織物は「織ったら完成」ではなく、縮絨によって生地の密度や風合いを整え、起毛によって表面に毛羽を出す。

さらに仕上げを加えることで、同じ糸や同じ織り方でも、ふくらみや落ち感、触れたときの柔らかさ、光の見え方まで変わってきます。

生地の最後の表情をつくるところまで、産地の技術として積み重ねられている。

そんな背景を知ると、普段何気なく袖を通すウール素材のアイテムも、少し違って見えてきます。

今回の一着は、そんな尾州産ウールを使用したルーズフィットシャツ。

これまでのルーズフィットをベースに、今時期からは中肉のカットソーや薄手のニットも仕込めるよう、ほどよくゆとりを持たせた設計です。

シャツでありながら、ライトアウターとしても成立するバランス。

台襟裏とカフス裏には起毛したコットンコーデュロイを配し、肌に触れる部分を柔らかく。

秋には一枚の羽織りとして。

さらに気温が下がれば、コートやジャケットの中間着として。

ウールの保温性だけではなく、毛織物ならではの「生地そのものの表情」を楽しめる一枚です。

服は、形だけではなく、その生地がどこで、どんな技術によってつくられているのかを知ると、なんだかまたひとつ面白くなる。

尾州という産地が長い時間をかけて培ってきた技術を、こうした日常着で感じられるのも、洋服の楽しみのひとつですね。